今月のメンバー 大箭剛久
2022年12月26日
2022年12月26日
株式会社丸越代表取締役 大箭剛久
好きな書籍
高校時代に友人の奨めで「山本周五郎 修道小説集」を読んで以来、周五郎の本を読み漁りました。中でも好きなのは「裏の木戸はあいている」という小説です。
江戸時代の武家社会にあって、貧しい市井の民に無利子でお金を融通してあげる主人公。民を甘やかす行為だという批判もある中、幼い頃の原体験から貧困による悲劇を繰り返させないという固い意志のもと、自身が大怪我を負うような事件に巻き込まれても、貸し出しを止めることはありません。その「無償の奉仕」はロータリーの奉仕の理念と相通ずるものだと認識しています。
小説の中で、主人公が無利息で貸していることに対し、金貸しめいたことをしていると(実際に金を貸すことを生業としている者から)目安箱へ投書される件で「難しいものだ。こういうことでさえもどこかへ迷惑を及ぼさずにはいないんだな」と主人公が呟くシーンがありますが、これなどは1909年にシカゴクラブが街に初めて公衆トイレを設置しようとしたときに、百貨店組合から猛反対を受けたという話を彷彿させます(当時はトイレを百貨店で借りようとする者は、まず商品を購入していたようです。現代でもコンビニのトイレを借りるときに何かしら買わないと、と思うのと感覚的には一緒ですね)。
趣味の話
アルゼンチンタンゴのダンスを始めて丸十年、今年初めて競技会に参加しました。家内がダンスをしないのに他の女性とペアを組んだりすると家庭不和の元になるので、ずっと控えてきましたが、今回の大会は男性も女性も一人で選手登録し、当日の抽選でその場で踊る相手を決めるというもので、ギリギリ許容範囲だろうと(家内の許可も得て)参加しました。おかげ様で予選は通過。準決勝に駒を進めましたが、日頃の行いが悪いのか、肩の怪我や発熱(PCRは陰性でした)が重なり、準決勝出場は断念せざるを得ませんでした。それでも来年に向け、新たな目標ができたので、また頑張ってみようかなと思っています。
何事もそうなのでしょうが、やってみるとなかなか奥が深く、特にダンスにおいては男性は女性をリードする立場なので、女性がリズムに合わせて美しく踊れるように、半拍前のタイミングで次に何をするかの合図を送ることが求められます。遅すぎても早すぎてもうまく行きません。また、うまく行かないステップなどは、たいていその一歩か二歩前に原因があり、そこを直してやるとスムーズに運べるようになったりします。これって仕事にも共通するように思うのは私だけでしょうか。
実はアルゼンチンタンゴを習う前から社交ダンスを続けていて、こちらは既に三十年になります。私は独身時代の1997年から三年半ほどシンガポール駐在を経験しましたが、ダンスをやっていたことで、現地でも社交ダンススクールに入り、多くの友人にも支えられて公私にわたり充実した生活を送れたように思います。そういう意味でもダンスとの出会いに感謝しています。